慰霊諸団体から、菅 直人総理大臣への公開質問状

内閣総理大臣
  菅 直人 殿

国立追悼施設建設に関する公開質問状

 内閣総理大臣菅直人殿には、ご就任間もない国会答弁で、靖国神社参拝に関し「A級戦犯が合祀されているといった問題などから、首相在任中に参拝するつもりはない」と明言されました。国の尊い礎となられた戦没者の御霊への表敬を躊躇される総理の姿勢を、靖国神社を拠り所として戦没者慰霊活動に携わる私ども一同、深く憂慮するものであります。関連して政権与党・民主党は、先の「民主党政策INDEX2009」において新たな国立追悼施設の建設を提言されています。靖国神社参拝を否定される菅総理及び閣僚諸氏には、この新たな国立追悼施設建設をどのようにお考えか承りたく、私どもの存念の開陳も兼ね、付紙のとおり、公開質問状をお届けします。

財団法人 大東亜戦争全戦没者慰霊団体協議会
財団法人 日本遺族会 社団法人 日本郷友連盟
財団法人 偕行社 財団法人 水交会
財団法人 特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会
財団法人 千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会 財団法人 海原会
財団法人 太平洋戦争戦没者慰霊協会
特定非営利活動法人 ジェイワイエムエイ
全国海洋戦没者伊良湖岬慰霊碑奉賛会
全ビルマ会 全国甲飛会
興亜観音を守る会 陸士第57期同期生会
英霊にこたえる会 予科練雄飛会
山口県偕行会 熊本歩兵第225聯隊戦友会
豊橋歩兵第18聯隊戦友会 特攻殉国の碑保存会
震洋会 東京ヤゴダ会
神奈川県偕行会 東京都郷友会
埼玉偕行会 群馬偕行会
近畿偕行会 全国近歩一会
宮崎県偕行会 姫路偕行会
福井県偕行会 鹿児島偕行会
筑後地区偕行会 佐賀県偕行会
旧戦友連 エラブカ東京都人会
熊本偕行会 (順不同)

(代表)財団法人 大東亜戦争全戦没者慰霊団体協議会
会長 山本 卓眞
〒105-0014 東京都港区芝二丁目5-19 TAビル内
電話 03-5730-0421 / FAX 03-5730-0422

付紙

《私たちの思い》

 ○ 現在、靖国神社には、戊辰戦争以来、国のために殉じられた戦没者の御霊246万6000余柱が祀られております。それら戦没者の殆どは、国家の命令で戦場に赴き、国のため、民族のために、尊いいのちを捧げられた人たちであります。今日、私どもが享受しているわが国の平和と繁栄は、明治以来1世紀余に及ぶこれら戦没者の尊い献身の上に築かれたものであることを、我々は決して忘れてはならないと思いますし、またその思いを後世に伝えてゆく努力を怠ってはならないと考えます。

 ○ 明治天皇の思し召しによって創建され、明治維新以来の戦没者、国事殉難者を祀る靖国神社は、戦後の占領政策によって国の管理下を離れ一宗教法人として存続することを余儀なくされた後も、大東亜戦争の戦没者合祀を国に代わって使命として受け継ぎ、創祀以来の戦没者慰霊の祭祀を営んできております。戦没者の多くが、その遺書や遺稿に見るとおり、家族には靖国神社に会いに来るよう言い残し、戦友には靖国神社での再会を約束して、雄々しく散華されました。今も靖国神社に詣でる遺族は、毎日途絶えることはありません。靖国神社は、そうした歴史と伝統のもと、今もわが国における戦没者慰霊の中心的施設であり続けていると確信します。

 ○ 「民主党政策INDEX2009」は、新たな国立追悼施設に「特定の宗教性をもたないこと」を強調しています。靖国神社に「特定の宗教性」を意識されてのご提言だと思いますが、明治維新以来、国のためにいのちを捧げた戦没者の御霊を祀る靖国神社の歴史は、近代日本の歩みとともにあります。占領政策によって戦後、宗教法人としてのみ存続することを余儀なくされましたが、創建以来の靖国神社の性格や祭祀は一切変わるものでなく、その歴史と伝統が途切れた訳でもありません。戦没者慰霊のためのわが国の中心的施設として長きにわたり国民に親しまれてきた靖国神社に、今改めて特定の宗教性を意識する日本人は殆どいないと考えます。靖国神社は、今も変わらず戦没者に対する万民共通の祈りの場であります。

 戦後、靖国神社を占領軍から守った恩人として、駐日ローマ法王庁ヴァチカン公使代理ビッテル神父の名前が挙げられますが、彼は次のようにマッカーサー司令官に進言したと聞きます。

 「いかなる国家も、その国家のために死んだ人々に対して、敬意を払う権利と義務がある。・・・・もし、靖国神社を焼き払ったとすれば、その行為は米軍の歴史にとって不名誉きわまる汚点となって残ることであろう。・・・・神道・仏教・キリスト教・ユダヤ教など、いかなる宗教を信仰する者であろうと、国家のために死んだ者は、全て靖国神社にその霊を祀られるようにすることを進言する」

 ○ 「民主党政策INDEX2009」は、加えて「靖国神社にA級戦犯が合祀されていること」を問題視しています。また去る6月15日の国会答弁において、菅総理は靖国神社参拝について「A級戦犯が合祀されているといった問題などから、首相や閣僚が公式参拝することは問題があると考えており、首相在任中に参拝するつもりはない」と発言されました。内閣総理大臣が公式の場において「A級戦犯」なる認識を示されたことに我々は驚きを禁じ得ません。

 そもそも、国際法や近代刑法の原則を無視して戦勝国が敗戦国日本を一方的に裁いたのが東京裁判であり、いわゆる「A級戦犯」の烙印はその所産でありますが、彼等は時の日本の国策遂行責任者ではありますが、断じて「犯罪人」ではありません。

 講和条約発効直後の昭和27年5月、「連合国による軍事裁判受刑者は国内法上の犯罪人として扱わない」とする法務総裁通牒が発せられました。また、日本弁護士連合会を皮切りに全国各地に広がった戦犯赦免運動は4千万人とも言われる膨大な数の署名を集め、「戦犯」の名誉回復を求める国民の願いとして政府・国会に届けられました。昭和28年8月には「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が衆議院本会議通過、関係国の同意も得て、いわゆる「戦犯」はA級を含め全て釈放されました。以後、遺族援護法・恩給法などの関係法令も累次改正され、「戦犯」本人及び同遺族の全てが一般国民と同様に扱われるに至りますが、それらの国会決議・政府措置は全て、わが国の独立とともに、「戦犯」なる烙印を払拭し、共に国のために殉じた人々として同じに取り扱うべきだとの、当時の国民感情の結晶であったと考えます。

 A級に限らずいわゆる「戦犯」の方々の「昭和殉難者」としての靖国神社合祀は、こういった当時の国民感情とそれを受けた政府措置に基づく当然の帰結であります。

 ○ 民主党が政策集でご提示の「国立追悼施設」が如何なるものか、必ずしも理解十分ではありませんが、明治以来、長きにわたり戦没者慰霊の中心的施設として国民に親しまれ、今も年間参拝者600万人に及ぶ靖国神社の存在を無視して新たな戦没者慰霊施設の建設をお考えだとすれば、その結果、素朴に戦没者慰霊に思いを寄せる国民世論を分断することになりはせぬか、それこそ、この国の平穏を祈り民族の安寧を願って散華された戦没者の御霊に対し申し訳ないことではないかと危惧するものです。



《総理への質問》

【質問1】
 多くの戦没者が「靖国で会おう」と言い残して散って逝かれました。国に殉じた英霊を、国家が靖国神社に祀ってくれることを信じて散華されたもので、これはいわば明治以来の国と戦没者の約諾だったといえます。

 靖国神社に代わる新たな国立追悼施設の建設は、その約諾を踏みにじる結果にならないでしょうか。その点について、お考えをお聞かせ下さい。

【質問2】
 「どなたもわだかまりなく・・・」と新たな追悼施設をお考えとのことですが、今日、多くの国民が「戦没者追悼の中心的施設」として靖国神社に詣でています。

 新しい追悼施設の建設は、それら多くの国民にとって、新たな大きな「わだかまり」を生み出す結果となることを危惧するものです。その点について、お考えをお聞かせ下さい。

【質問3】
 靖国神社は、明治以来のわが国の歴史と伝統に基づく国民挙げての戦没者への祈りの場であります。その靖国神社の存在を無視するかのような新たな追悼施設建設は、歴史と伝統に培われた日本人の精神文化の解体につながることを恐れるものです。その点について、お考えをお聞かせ下さい。

【質問4】
 「A級戦犯合祀」を理由に靖国神社に代わる追悼施設をお考えとすれば、疑義を感じざるを得ません。独立国・日本の政府が、占領下での一方的な戦争裁判結果を如何に解釈するかは、まさしく国の主権に関わる問題です。時の国策指導者に付けられた「A級戦犯」なる汚名の払拭のために、総理以下の毅然とした姿勢を国民は期待しています。そのためには、「新たな追悼施設」ではなくて「靖国神社」の参拝こそが重要と考えるものです。その点について、総理のお考えをお聞かせ下さい。

以上

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