比島への旅日記

予科練雄飛会常務理事 穴山正司

 昨年協会主催での比島慰霊巡拝の旅に同行させて頂き、今年も四人程で二月に旅程を縮小して比島慰霊の旅に出かけました。
ご存知のように米国内でのテロ事件で、外国への旅行の際での旅券の発行が旨く行かず、ましてや比島は危険度が高くて「3」でありました関係から旅行会社はしり込みし受付けさえも断られる始末でしたが、幸いにも昨年比島旅行のガイドを勤めて頂いた方に旅券の入手方法の手引きを頂き出掛けることが出来ました。
今年は先ずマニラに飛び、同日に比島内の国内線でセブ島に入り、ホテル到着で第一日目は終りました。
翌日朝、ホテル前に建立されている観音像前で昨年同様に国歌と般若心経を唱えつつ参加者一同で焼香をして、英霊の御霊安かれを念じ祭事を済ませ、その後「同期の桜」と「故郷」を合唱してセレモニーを終了しました。
その後同島各所にある各慰霊碑の巡拝をして再びマニラに戻り、市内の見物等をしつつ指定のホテルに入って第二日目を終らせ休まして頂きました。


セブ観音像

コレヒドール島の慰霊碑

翌日はコレヒドール島へ向けマニラ港より快速船に便乗して、同島に眠る同窓英霊の慰霊碑巡拝に出発しました。約一時間の船旅でコレヒドール島のノースドックに到着し、下船後にドック脇海岸迄歩き、この辺で て対岸のバタアン半島沖に遊 していた敵艦船攻撃に震洋挺が発進されたと思われる場所付近で、軍艦旗を広げ英霊達の写真や生花、日本から持参した菓子や煙草等を供えて英霊への誠を捧げての祭事を行いました。
その後バスに便乗して同島に建立されている日本人墓地の在る場所に向かい、此処ではセブ島同様の祭事をしました。激戦で大勢の犠牲者が出たマリンタトンネル内の説明うを聞き、同島一日の短い許容時間内で各碑の巡拝をして再びマニラに向かう定時船に便乗しました。
夕刻に沈むマニラ湾の夕日の素晴らしい風景を眺めつつ、第三日目の思い出を胸に秘めつつホテルに入り休むことにしました。
明けて翌日はマバラカットの特攻発進地に建てられつつある慰霊記念碑参拝のため、チャーターバスでの約二時間程の旅にホテルを出ました。途中の案内をガイドの声に耳を傾けて進むと、前方にアラヤット山が見えて来た。
マバラカット市街の近さを感じさせる。車は間もなく市役所内に入り停車する。事前にコンタクトをガイドの方が取っていたために、この日は日曜日にも拘わらず市長代理で記念碑の責任者の方が、私達を市長室で待っておられて、到着すると早速私達に碑建立までの経過の報告と説明をされ、併せて沢山の果物を持参して歓待をしてくださった心の温かさには感激が一入の思いもありました。
ある程度の雑談が終ってから、ご夫人共々で現地記念碑建立場所に案内されましたが、私共は早速祭事の準備を始めて昨年同様に国歌から始まるセレモニーをして矢張り「同期の桜」と「故郷」を合唱して英霊の御霊安かれを念じて参りました。


昨年工事中のマバラカット慰霊碑入口の鳥居
(2001.2.末)

同左の完成まじかの鳥居
(2002.2)

特攻発祥の地、マバラカット市に再建された特攻碑。
10年前にミナツボ山の噴火で以前の碑が火山灰で
埋没したため市費で建設された。

モンテンルパの日本人墓地(2001.2) 維持管理に日本からの援助が
ないので、現地に永住している日本の老人が清掃等に当たっている。

昨年来た折は未だ工事中でもあって、仮枠なども付いたままの乱雑でしたが今年は完全にと思えるほどに周囲は出来上がり、多少の不備は在るものの現地の方の熱意で素晴らしい形で出来つつある情熱には、唯々感服の一語で拍手を送りたい心境でもあって、日本人以上の英霊に対する顕彰の心を大いに学ぶべきものであると痛感した。
祭事が終ってからも市長代理の方の案内で、当時の基地の仮説本部跡やバタアン半島死の行進時の記念碑建立地点等にも行き、説明をしつつ長い時間を割いてのお付き合いを頂きました。
尽きない思いも有りましたが、種々のご配慮に感謝を申し上げましてマバラカッツトでの一日の旅を終ることとし、御礼を申し上げお別れをして第四日目をホテルに車を走らせ帰路を急ぎました。
愈々最後の一日でもある第五日目、午後の便で帰国予定の午前中に昨年とは反対方向のモンテンルパに車を走らせ、現在も使用中の刑場裏の日本人墓地参拝に行く。
戦後数多くの戦犯の方が就役されて、病気で亡くなられた以外に十六名の方が処刑(法務死)された方々の墓前に、般若心経を唱えつつ焼香をし冥福を祈念しました。

 四泊五日の比島慰霊の旅も、全て参加者皆様の協力で無事済ますことが出来まして、予定通り午後の便で機上の人となり成田空港に到着しました。
帰宅後、昨年も同様な思いを持ちましたが、比島の方たちは二度と過ちを繰り返さない為の思いで、同地に散華されている私共日本人英霊の慰霊顕彰への心は、今平和に安穏と生活を謳歌している日本人よりも素晴らしく温かな心があって、各地に眠る数多い各碑を守り、顕彰への誠を捧げている精神をもっと私達は学ばねばと思っておりますし、又一人でも多くの方々に現況を知って頂ければと痛感している次第です。

以上

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