粟野敦子 創作人形展について

ある日、読売新聞の千葉版に、知覧の特攻記念館を訪ねた人形創作家が感動し、以後、その感動を胸に、意欲的な人形創りに励んでおられるとの記事が載りました。

この新聞記事を頼りに、夷隅市にお住まいの粟野敦子様宅をお訪ねしました。そのときは、お人形には、対面できませんでした。山形で展示会を開くとのことで、そのときお訪ねしようと思いました。しかし展示会は、東日本大震災の発生で中止になりました。

その後、9月上旬に秋田で開催されるとの連絡をいただきましたので、家内と共に一泊二日旅行で、出かけました。秋田の「あゝ特攻」勇士の像を奉納した「能代八幡神社」へも初参拝もしたかったのです。

初日のオープンに合わせて、13日0930に会場に伺いました。会場では、オープンニング・セレモニーもなく、祝賀のお花も無い質素な展示会でした。作者の粟野様ご本人は、未明から早朝まで、人形の飾付けをされ、午後から会場に出向かれるとかで、とにかく先ず、お人形さんを拝見したいと会場に入りました。

淡白で質素な会場の中に、人形は、何の飾りっ化も無く、並んでいました。ところが、その人形たるや、雛人形くらいの大きさながら、一体一体、一組一組、まるで、命が通っているような所作仕草で、佇ずんでいたのでした。

その入り口には、以下のような作者の想いが、「ごあいさつ」と言う形で出されていました。


ごあいさつ

私の心と手によって生まれた童(人形)達が、皆様に見ていただける機会に巡り合えた事を感謝いたします。

布切れや美しい包装紙、石ころや貝殻などありあわせの物で、自分なりの何かを作ったり、少女画等を描いたりすることが好きな子供でした。
50才も半ばの頃、人形教室があることをテレビで知り、その時から私の人形作りが始まりました。

無我夢中で作り続けているうちに、いつの間にか私の人形ファンの方や人形を買い求めて下さる方も増えて、華やかのもの、気を衒う、一見人目を引き、買ってもらえるものを作る事に腐心した時期が過ぎ、心の支えであった父の死、自身の目の病なども重なって、そんな人形作りに意味を見出せなくなってしまいました。

そんな折、気分転換にと、夫から九州旅行に誘われ、旅の途中に立ち寄った「知覧特攻平和会館」で、今まで感じたことの無い強い衝撃を受け、それは何ヶ月過ぎても消え去らない、人生観を変えるものでした。
それから再び私の人形作りが始まったのです。

人に阿るためではない真心こめた人形作りに切り替えた時から、作風はガラリと一変し、人目を引いて観てもらう人形、買ってもらう人形から、そこにあっては目にも止まらない地味で小さな人形だけど、一度止まって人形と対峙したとき、人の心にぬくもりと癒しを感じてもらえる、そんな人形を『一体でも作れたら良い』という思いで作り続けています。

人形創り人
粟野敦子

草履や指の一本一本、着物の帯、髪の毛の生え際など細かいところまで、丁寧な手作りで、肌のぬくもりや息遣いまで感じられるような人形達は、粟野さんの手で、特攻隊の隊員達から命を頂いたように感じられました。まさに、最後に目蓋に描いたであろう家族であり、友達であり、故郷の姿なのでしょう。物言わぬ人形ですが、その前に佇み、対面しているだけで、特攻隊で戦没された方々と、語り合っているような気持ちにさせられました。

会場を二順した後、会場の入り口に回ると、粟野さんご夫妻が立っておられました。感激をお伝えし、お祝いを申し上げて、会場を後にしました。

感激醒めやらぬ間に、秋田から能代に移動し、雨の中、能代八幡神社を訪ねました。社務所に立ち寄り、特攻顕彰会からのお布施を奉納、渟城宮司にご挨拶し、御案内を頂いて「あゝ特攻勇士の像」を参拝しました。像は、雨の中に静かにたたずんでいました。

宮司さんに、今後のことをよくお願いして帰途に着きました。
今回の秋田への旅は、忙しい旅になりましたが、充実した実りの多い旅でした。

粟野さんの人形展は、10月13日から11月13日までの間、北鎌倉の「故陶美術館」で、以下の通り開催されるそうです。是非一度、この人形達に会いに行ってやってください。私も、もう一度、是非会いに行きたいと思っています。


心のふるさと 粟野敦子創作人形展 in 北鎌倉古民家ミュージアム

心のふるさと

~昭和の人形たちが鎌倉へ~

帰ろうよ、心の中の故郷に。

どんな人にも、心の中に描くふるさとがあるような気がします。「ふるさと」という言葉は、心の支え、ぬくもり、癒しの代名詞ではないかと思えるのです。

私の人形を見てくださる方がこの子供(人形)たちと目と目を合わせ、心と心を共鳴させて「ふるさと」にほんのひと時でもこころを遊ばせて頂けたなら、この上ない幸いと存じます。

作者 粟野敦子



北鎌倉古民家ミュージアム

開催日 2011/10/13~2011/11/13
10:00~17:00(月曜定休 祝日の場合は翌日)
会場 北鎌倉古民家ミュージアム (旧 鎌倉古陶美術館)
住所 〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内392-1
JR北鎌倉駅西口より徒歩2分
料金 大人500円 中高生300円 小学生200円
※まいぷれ鎌倉を見たで入館料100円引き
連絡先 TEL:0467-25-5641
SHOPページ http://kamakura.mypl.net/shop/00000317161/?hid=44183
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