第三編 顕彰譜

年頭のご挨拶 年頭のご挨拶

靖國神社宮司 山口建史

 明けましておめでとうございます。
 令和三年の年頭に当り、謹んで皇室の弥栄、また皆様のご健勝とご繁栄をお祈り申し上げます。

 昨年、秋篠宮文仁親王殿下が皇嗣になられたことを天皇陛下が内外に広く宣明になられる
「立皇嗣宣明の儀」をはじめ、立皇嗣の礼の諸儀式が厳粛に執り行われましたことは、洵に慶祝の極みに存じます。

 さて、昨年は新型コロナウイルス感染症が世界的規模で拡大し、未だに終息の見通しは不透明であります。医療関係者をはじめ、国民の生命、生活を守るため献身的に職務に従事されている方々に対し深く敬意を表する次第です。

 当神社においても、昨年の春秋例大祭は祭典規模を縮小し、みたままつりの斎行を中止させていただくなど苦渋の決断に至りましたことは、御祭神に対して洵に申し訳なく、今後より一層盛大且つ厳粛に斎行できるよう、職員一同努めていく所存でございます。

 我々は新型コロナウイルスという新たな国難に直面しておりますが、先人たちより受け継がれてきた共助の精神、清浄を重んずる国民性を以て必ずや克服できることと信じております。本年の干支「牛」の歩みの如く、着実に一歩一歩前進し、以前の生活に一日も早く戻ることができるよう祈るばかりです。

 本年は昭和十六年大東亜戦争開戦より数えて八十年を迎えます。十五世紀の大航海時代以降、欧米列強によるアジアの植民地支配の波が押し寄せる中、我国は明治維新以来、近代独立国家を建設するために懸命の努力を続けました。その後、日清・日露の戦役、支那事変、そして大東亜戦争という未曾有の国家存亡の危機の中で、国民は一体となり身を挺して立ち上がりました。

 昭和十六年十二月八日の靖國神社社務日誌には、
「重慶ニ、残存スル蒋政権ヲ支援シテ平和ノ美名ニ匿レ東洋制覇ノ非望ヲ逞ウセントスル米國、英國ニ對シ本日、宣戰ノ大詔渙発アラセラレタリ。」
「職員一同参集。宮司ヨリ英米両國ニ對シ本日宣戰ノ大詔渙発セラレタリ、古今未曽有ノ國難ナルモ、御稜威ノモト、勝利ハ我ニアル事ヲ確信ス。今第一線ニ立タサル我等ハ益々職域奉公ノ誠ヲ至シ以テ金甌無?ノ我國体ヲ擁護シ奉ルヘク尚此ノ際一層参拝者ニ對シテ懇切ヲ盡スヘキ旨訓示セラレタリ」
「戦勝祈願ノ為参拝者激増ス」
と記されております。当時の国民はこの開戦の意義を十分に理解し受容して、その崇高なる使命感に奮い立ち、男性は勇躍して戦線に赴き、女性は銃後の護りに挺身されました。今日の我国の繁栄が、偏に御祭神の礎の上に築かれたものであるという事実、そして英霊のみこころを次の世代に継承していくことが我々の責務であります。

 貴会会員各位には今年一年、引き続き当神社に対しご理解とご協力をいただきますようお願い致しますとともに、皆様方にとって、また我国にとりましても良き年となりますことを衷心より祈念申し上げます。