第三編 顕彰譜

会報第135号 巻頭言 会報第135号 巻頭言

公益財団法人特攻隊戦没者慰霊顕彰会
副理事長岩﨑茂

 特攻隊戦没者慰霊顕彰会(以下「特攻顕彰会」)の機関紙「特攻」をご愛読されている皆様、こんにちは。日ごろから、私達、「特攻顕彰会」に対し頂いております皆様方からのご支援・ご協力、そしてご理解に心から感謝・御礼申し上げます。

 我が国では、昨年の1月下旬から新型コロナウイルス(WHOの命名:Covid-19)が残念ながら報道のトップ記事となり、以降もその状態が続いている。我が国では、国内でのCovid-19の感染者が確認された以降、感染拡大防止の為、国外からの入国制限等、各種の対策が取られてきている。しかし、感染者の拡大は止まらず、結果的には、戦後は経験した事がない様な、全国レベルでの学校閉鎖や緊急事態宣言が行われる事態となった。そして、このCovid-19の被害は全世界に拡大し、所謂、パンデミック状態となってしまっており、被害は拡大の一途である。既に世界での感染者数は1億3千万人となり、お亡くなりになられた方は3百万人に近づいている。
世界的な感染拡大を考慮し、多くの日本国民の悲願であった東京オリンピック・パラリンピックは1年間延期されることとなり、極めて異例の事態となっている。

Covid-19私達の生活様式を根本から覆すことになった。国民の多くの方々がステイ・ホームやリモート・ワーク等、通勤を局限し、外出等を控えざるを得ない状態になり、この影響は、私達、「特攻顕彰会」にも大きく影響することになった。各地での慰霊行事は軒並み中止や規模縮小となった。昨年は、我々「特攻顕彰会」として、当初計画では全国44ヶ所の慰霊祭に参加予定であったものの、結果的には10ヶ所のみの参加となった。参加できなかったところには玉串料や供花を奉納させて頂いた。

 その後、このCovid-19への各種感染拡大防止策が功を奏し、新規感染者数が急激に低減したことから、緊急事態宣言は、5月下旬には全国で解除された。その後、暫くの間は落ち着いていたものの、10月末から再度、新規感染者数が急速に拡大傾向となり、残念ながら、本年1月、限られた地域ではあったものの再度の緊急事態宣言が行われた。本年も各地での特攻隊員に対する慰霊行事は、昨年同様に規模縮小や中止との判断がなされてきている状態である。大変残念な事態である。しかし、行動等の自粛以外に感染予防の有効な手段も無く、新規感染者数を抑える為には仕方ない判断であろう 。

 この様な中、3月25日予定どおり、東京オリンピック・パラリンピックの為の聖火リレーが福島県からスタートした。暗闇の中になにか光を見たような感じである。この東京オリンピック・パラリンピックの開催には賛否両論がある事は承知している。しかし、この聖火は多くの国民に希望の光を届けている事も事実であろう。今後、この聖火が無事に全国を走破し、東京に燈が灯る事を願っている。

今年の靖国神社での特攻隊員の慰霊行事は、参加者をごくわずかに絞り、3月27 日に執り行われた。
晴天に恵まれ、桜も第135号( 2 )丁度、満開であったことから、比較的多くの参拝客が靖国神社に来られていた中での行事であった。私達の慰霊行事が終わり、参加者一同(20名程度)が靖国神社内の遊就館の入り口付近に建立されている「特攻勇士之像」へ向け移動している時に、ある光景を目にした。靖国神社に花見を兼ねて(?)参拝に来られたと思われる方々が、我が「特攻勇士之像」の前で説明文を読み、手を合わせてくれていた。何組かの比較的若い方々であった。多分、「特攻顕彰会」の会員ではない方々の様でしたが、「特攻勇士之像」に参拝してくれていたのである。しかし、私達が黒い服装で「特攻勇士之像」に近づいて行ったので、この方達は早々に立ち去って行ってしまった。追い払ってしまったような感じになってしまった。大変申し訳ない事をしてしまった。少し待つべきだったかもしれない。しかし、この光景を見て、何かホッコリとした気持ちになるとともに勇気を頂いた。

 以前、この機関紙に最近の「特攻顕彰会」の会員数の急減について記述したことがある。最近は、その時よりもさらに減り、1400名を下回る様になってしまっている。「特攻顕彰会」理事会では会の活性化や会員募集の為の各種対策を行っているものの、会員数の減少に歯止めがかかっていない。でも、先ほど述べたように、我々の努力不足で、我々の思いが十分にいろいろな方々に伝わっていないところもある。我々は、いろいろな情報発信機能を持っているし、使うことが出来る筈である。これらの機能を駆使し、私達の思いや活動をいろいろな人達に届け、先ほどの方々とともに、先人たちへの思いを語らいそして思いに馳せ、先人たちの残した偉業を後世に語り継ぐ事を皆で一緒になってやらなければと再度、認識させられた。

 今年は、大東亜戦争開始から80年目、最初の特別攻撃隊がマバラカット基地から飛び上がった時から77年目である。我々が現在、享受している平和で安定した生活は、特攻勇士の方々のご努力の上に成り立っている事を認識しつつ「特攻顕彰会」の各種事業に邁進する所存です。「特攻顕彰会」の会員の方々には、会員募集にもご理解を頂き、多くの方々に対しますお声掛けと会へのお誘いをお願いし、合わせてCovid-19が一日でも早く鎮まる事を願いつつ令和三年五月号の挨拶といたします。