第三編 顕彰譜

第69回特攻平和観音年次法要 特攻平和観音経の解説 第69回特攻平和観音年次法要 特攻平和観音経の解説

世田谷山観音寺住職

太田恵淳

天と地に分かれ世界が始まって以来この世に生まれ出でた生命は数知れない
その間、同種、同族で結束し国をつくり、自らの領土を広げるための奪い合いを繰り返してきた
ことに中世以降西欧列強諸国は純朴な後進の国々・種族を力で隷属させ、その利益を一方的に搾取し楽を得る。
世界の旧秩序とはそういうものであった我が国は日本書紀の時代から
「天の下では民族などに関係なく全ての人は平等である」ことを根本理念として
三千年昭和となり世界に新たな秩序(=世界をひとつの家とする)を心から願いついに未曾有の大戦となる
国民が心をひとつにし戦いに挑むも戦力の差は埋めようもなく日々戦況は悪化
し先の見えぬ状態であったそこに忠義心と勇気を持つ年若き烈士たちが自らを奮い立たせ「九死に一生を得る」事を考えることなく特攻によって敵機・敵艦船を打ち敵を驚嘆させたのである
その烈しさ勇ましさその大いなる戦果は全世界の瞠目するところとなった
しかしついに惨絶の敗戦を迎えることとなる
それはかってない苦難であった
戦争は終わったのである
特攻烈士の国思う誠心を考える時誰もが言葉をのみ胸を打たれる
人間としてこの世に生まれることは難しいことである
人間として死に方もまた難しいことである
司馬遷いわく
「人はもとより死すべきものであるがその生命は山より重いこともあり羽毛
より軽いこともあるそれは生命の果たす役割が違うからである(故に尊く生き
てこそ価値がある)」と
 

特攻勇士の諸霊は忠義心の鑑である
諸霊が父母の恩愛を断って
忠孝義勇に徹した尊き境涯に思い至り涙を流さずにいられないものはないだろう
老人も若者も泣き、男も女も泣き
草も木も馬も羊も涙を流し
玉も磚もことごとく悲しみ
この世のすべてが嘆き続けてやむことがない
しかし諸霊の心を安らげうるものがある
それは世界という屋根の下およそ百三十をこえる国々が独立し植民地の苦し
みから解放されたこと
つまり新たな秩序の出現そのことである
まさに世紀の偉業
この輝きに匹敵するものが他にあるだろうか
これこそは諸霊の志の顕現である諸霊の流した血の現れである

諸霊は仁・徳・勇・善たる大いなる魂であり
その姿はまぶしく
その徳は限りない
太陽や月の如く光り輝き
その功績はいつまでも広く世界に知られ
るであろうことに疑いの余地はない
ああ尊いかなああ仰がんかな永遠
不滅の光

南無特攻平和観世音菩薩

南無特攻平和観世音菩薩

南無特攻平和観世音菩薩

八紘為宇

日本書記「掩八紘而為八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)となす」より。全世界を一つの家とする
打ちして止まん《「敵を打ち砕いたあとに戦いをやめよう」の意》敵を打ち砕かずにおくものか。

豪気

強く勇ましい気性




蕩蕩

広く大きい




戦務

戦略・戦術を実施する事務の総称。大日本帝国海軍の秋山真之が取り入れた概念




瞠目

驚いたり感心したりして、目を見張る様子




やんぬるかな

いまとなってはどうしようもないおしまいだ

忠列

忠義心が厚いこと

亀鑑

手本模範「亀」は昔、その甲を焼いて吉凶を判断したもの、「鑑」は鏡の意

玉も磚も

宝石もガラクタも

赫然

かがやくさまさかんなさま

光顔や巍々たり

お姿はまぶしく

威神や無極たり

徳は限りなく