恭しく伏して惟んみるに天地開闢以来この世に生を享けしもの幾十百千万億兆なるを知らず。
その間同種相集い同族相結んで国をなし互いに境を劃し、相互反目反噬してその国土の拡延を図り争奪して止まざること百千万刧なり。
就中、中世以降、西欧の諸列強は善良盲眛の後進諸国を併呑し、もろもろの種族を圧伏して植民の苦を与え、その野望の楽を取りぬ。世界の旧秩序即わち是れなり。
我が邦は、古来平和を以て八紘為宇の大理想となし、万邦融合の大理念を掲ぐること、ここに三千年、昭和の聖代に至り、世界に一大新秩序を齎らさんことを庶幾し遂に曠古の大戦となる。
一億同心。打ちてし止まんの豪気蕩々、挙国戦務を務むるも、奈何せん、彼我の戦力隔絶し、戦勢日に非にして、大事将に去らんとす。
慈に忠勇無双の紅顔の烈士、自奮自励、九死に一生を期せず、特攻以て敵機、敵艦船を求めてこれを屠り敵陣営の謄を奪う。その挙の壮烈にして、その果の偉大なる、全世界の瞠目するところなりき。然りといえども、遂に惨絶の敗戦に会す。我が邦無前の苦艱、ああやんぬる哉。
特攻烈士の挺身殉国の衷情を忖度すれば、人皆言辞を嚥み、熱涙胸宇に充つ。
それ人身は享け難く、その生を終るや難し。
前漢の大史公司馬遷にこれを聞く「人固より一死あり。
死或は泰山よりも重く、或は鴻毛よりも軽し。これを用うるに趣くところ異なるなり」と。
特攻勇士の諸霊は正に忠烈の亀鑑なり。諸霊が父母の恩愛を断ち、大忠、大孝、大義、大勇に徹せし崇高無比きょうがいそうとうたればんこくなみだなる境涯に相到せんか誰か万斛の涙なきを得んや。
老いも若きも
泣き男も女も哭き
草も木も、馬も羊も涙せん
玉も磚も悉く悲しまんなげ
天地万象凡て慟きて止まざらん
唯、諸霊を慰め得るもの一つあり宇内に無慮一百三十有余の独立国家の新秩序の出現これなり。
真に世紀の偉業。この赫然たるに匹儔するもの果たして他にあらんや。
これ正に諸霊の志の顕現なり。
諸霊の血の発露なり。諸霊や、大仁にして大徳、大勇にして大善なり。故に諸士の霊徳や無量なり。諸士の光顔や巍々たり。諸士の威神や無極なり。
その威徳は日月と耀を争い、その勲績は末代永世に亘りて宇内に広宣流布せられんこと豈疑を容るるの余地あらんや。
嗚呼尊い哉、嗚呼仰がん哉、長存不滅の光
南無特攻平和観世音菩薩
南無特攻平和観世音菩薩
南無特攻平和観世音菩薩
世田谷山観音寺住職 太田 恵淳
天と地に分かれ世界が始まって以来この世に生まれ出でた生命は数知れないその間、同種、同族で結束し国をつくり、自らの領土を広げるための奪い合いを繰り返してきたことに中世以降西欧列強諸国は純朴な後進の国々・種族を力で隷属させ、その利益を一方的に搾取し楽を得る。
世界の旧秩序とはそういうものであった我が国は日本書紀の時代から
「天の下では民族などに関係なく全ての人は平等である」ことを根本理念として三千年
昭和となり世界に新たな秩序(=世界をひとつの家とする)を心から願いついに未曾有の大戦となる国民が心をひとつにし戦いに挑むも戦力の差は埋めようもなく日々戦況は悪化し先の見えぬ状態であったそこに忠義心と勇気を持つ年若き烈士たちが自らを奮い立たせ「九死に一生を得る」事を考えることなく特攻によって敵機・敵艦船を打ち敵を驚嘆させたのである
その烈しさ 勇ましさ その大いなる戦果は全世界の瞠目するところとなった
しかしついに惨絶の敗戦を迎えることとなる
それはかってない苦難であった
戦争は終わったのである
特攻烈士の国思う誠心を考える時誰もが言葉をのみ胸を打たれる
人間としてこの世に生まれることは難しいことである
人間として死に方もまた難しいことである
司馬遷いわく
「人はもとより死すべきものであるがその生命は山より重いこともあり羽毛より軽いこともあるそれは生命の果たす役割が違うからである(故に尊く生きてこそ価値がある)」と
特攻勇士の諸霊は忠義心の鑑である
諸霊が父母の恩愛を断って
忠孝義勇に徹した尊き境涯に思い
至り涙を流さずにいられないものはないだろう
老人も若者も泣き、男も女も泣き
草も木も馬も羊も涙を流し
玉も磚もことごとく悲しみ
この世のすべてが嘆き続けてやむことがない
しかし諸霊の心を安らげうるものがある
それは世界という屋根の下およそ百三十をこえる国々が独立し植民地の苦しみから解放されたこと
つまり新たな秩序の出現そのことであるまさに世紀の偉業この輝きに匹敵するものが他にあるだろうか
これこそは諸霊の志の顕現である諸霊の流した血の現れである諸霊は仁・徳・勇・善たる大いなる魂であり
その姿はまぶしく
その徳は限りない
太陽や月の如く光り輝き
その功績はいつまでも広く世界に知られ
るであろうことに疑いの余地はない
ああ 尊いかな ああ仰がんかな 永遠不滅の光
南無特攻平和観世音菩薩
南無特攻平和観世音菩薩
南無特攻平和観世音菩薩
八紘為宇 | 日本書記「掩八紘而為八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)となす」より。 全世界を一つの家とする |
打ちして止まん | 《「敵を打ち砕いたあとに戦いをやめよう」の意》 敵を打ち砕かずにおくものか。 |
豪気 | 強く勇ましい気性 |
蕩蕩 | 広く大きい |
戦務 | 戦略・戦術を実施する事務の総称。 大日本帝国海軍の秋山真之が取り入れた概念 |
瞠目 | 驚いたり感心したりして、目を見張る様子 |
やんぬるかな | いまとなってはどうしようもないおしまいだ |
忠列 | 忠義心が厚いこと |
亀鑑 | 手本模範「亀」は昔、その甲を焼いて吉凶を判断したもの、「鑑」は鏡の意 |
玉も磚も | 宝石もガラクタも |
赫然 | かがやくさまさかんなさま |
光顔や巍々たり | お姿はまぶしく |
威神や無極たり | 徳は限りなく |