本土に対する連合軍の上陸作戦に備え、予想上陸地点に基地回天隊が配備された。
第一陣の第一回天隊は沖縄に配備されることになり、「白龍隊」と称した。光基地で編成され、海岸での発進訓練を行った後、3月13日第18号輸送艦で出撃した。同艦は3月15日佐世保を出港後消息を絶った。回天搭乗員河合、堀田、新野、田中、赤近、伊東、猪熊の七名、整備員吉田洸少尉、樽井辰雄兵曹長、基地員河田直好機兵曹長が艦と運命を共にした。
その後の基地回天隊の展開状況は次の通りであった。
回天隊名 編成月 編成地 配置(所属) 回天数
第二 5月 大津島 光 八丈島(八丈島警備隊) 八
第三 5月 大津島 油津 (第33突撃隊 宮崎県) 九
第四 5月 光 須崎 (第23突撃隊 高知県) 八
第五 6月 大津島 南郷 栄松(第33突撃隊 宮崎県)八
第六 5月 平生 浦戸(第23突撃隊 高知県) 八
第七 6月 光 須崎 浦戸(第23突撃隊に増援) 八
第八 7月 平生 細島 (第35突撃隊 宮崎県) 一二
第九 7月 光 内海 (第33突撃隊 宮崎県) 六
第一〇 8月 大津島 大堂津(第33突撃隊 宮崎県) 四
第一一 8月 大神 麦ケ浦(第21突撃隊 愛媛県) 八
第一二 8月 大津島 小浜 (第12突撃隊 千葉県) 六
第一六 8月 大津島 由良 白崎(第22突撃隊 和歌山県)四
注・33突撃隊に進出した井出籠、夏堀の二名の搭乗員は米艦載機の攻撃によって戦死した。
なお、次の回天隊が編成中であったが展開に至らなかった。
回天隊名 配置 突撃隊 回天数
第一三 網代 第15(静岡県) 一〇
第一四 小和田 第11(神奈川県) 八
第一五 大井 鳥羽 第13(愛知・三重県) 四
実に一一一基の回天が敵の上陸に備えて出撃の機をうかがっていたのである。終戦直後降伏を潔しとせず橋口寛大尉、松尾秀輔少尉が自決した。
大戦間制作された回天数四二〇基、うち泊地攻撃を実施した回天四八基、航行艦船攻撃を実施した回天三二基であった。また、回天作戦に参加し未帰還となった潜水艦は八隻、その乗組員は八一〇名である。これら回天搭乗員ならびにそれを支援した人達の忠誠と偉勲は永久に伝えられるべきものと信じられる。